エンハーツがいよいよ婦人科がんでも使えるようになりました!

エンハーツがついに婦人科がんにも保険適用となりました
固形がんの治療を大きく変えたブレイクスルー・セラピーの代表的な薬剤である「エンハーツ(一般名:トラスツズマブ・デルクステカン)」が、いよいよ婦人科がんにおいても投与できるようになりました。エンハーツは第一三共が独自に開発した”Made in Japan”の薬剤で、抗体薬物複合体(ADC)に分類される分子標的薬です。トラスツズマブというHER2(がん遺伝子の一種)に対するモノクローナル抗体と、デルクステカンというトポイソメラーゼⅠ型阻害剤(抗がん剤)を合体させた薬剤で、体内に投与されると、①HER2が発現しているがん細胞にくっつき → ②グルクステカンを放出し → ③がん細胞内にグルクステカンを打ち込み抗がん作用を発揮する・・・という極めて理にかなった素晴らしい薬剤です。これまで、乳がん、肺がん、胃がんなどに保険適用がありましたが、残念なことに婦人科がんには保険適用がありませんでした。しかし近年の臨床試験において、再発を繰り返し標準治療が効かなくなった子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんに対し、非常に高い抗腫瘍効果を発揮することが判明したので、われわれ婦人科がんのスペシャリストは、いつ使えるようになるかと心待ちにしていたのです(J Clin Oncol. 2024;42:47-58.)。婦人科がんの新しい治療薬として、今後多くの患者さんに福音をもたらすこととなるでしょう。
エンハーツはHER2陽性の婦人科がんにとても効く
エンハーツはとりわけ「HER2遺伝子が増幅している」もしくは「HER2タンパクが強発現している」がんに非常に有効であることも判明しています(下図の赤線囲み)。よってエンハーツを投与する前に、これらをチェックすることが望まれます。

(図の出典:J Clin Oncol. 2024;42:47-58.)
当院では血液検査でHER2遺伝子検査が可能です
当院のがんゲノム外来では、HER2遺伝子増幅を血液によるがん遺伝子パネル検査(リキッドバイオプシー)によって容易に調べることができます。さらにがん遺伝子パネル検査では、HER2以外の様々な遺伝子の異常も併せて判明するので、他の薬剤に結び付く遺伝子異常も効率的に調べることが可能です。詳しくは当院までご来院の上、ご相談ください。なお、がん遺伝子パネル検査は自由診療となります。
文責 小宮山慎一
こみやまレディースクリニックあざみ野副院長
東邦大学医学部産科婦人科学客員教授