子宮頸がんは子宮の「入口」にできるがんです。その「前がん病変」は、子宮頸部異形成(子宮頸部上皮内腫瘍、cervical intraepithelial neoplasia: CIN)と呼びます。「前がん病変」とは、「がんの一歩手前の状態」「今はがんではないが、将来がんに移行するかもしれない状態」と言えます。
子宮頸部異形成は病変の程度(grade)により3段階に分類されます。最初に軽度異形成(CIN 1)が発症し、時間とともに、中等度異形成(CIN2)、さらに高度異形成/上皮内癌(CIN3)と徐々に悪化し、最終的に子宮頸がん(浸潤がん)となります。つまり、いきなり「がん」が発生するわけではなく、一定の時間を経て異形成からがんへ増悪していくのです。

子宮頸がん/子宮頸部異形成は増えている
近年、子宮頸がん・子宮頸部異形成のいずれも20~30歳代の若い女性に急激に増加しています。また高齢化に伴い、70歳代以降の女性にも子宮頸がんが増加傾向があることが指摘されています。
子宮頸がん/子宮頸部異形成は20代~30代の若い女性のがんのうち、最も頻度が高い疾患です。日本においてその罹患数は年々増加しており、由々しき状況と言えます。わが国で子宮頸がんが増えている理由は、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の接種率が低いことと、子宮頸がん検診(がん検診)の受診率が低いことによると考えられます。さらに晩婚化や未婚率の上昇傾向により、若い年齢層の女性が産婦人科への受診する機会が減少している(検査を受ける機会が減っている)ことも関係していると推察されます。

図の出典:国立がんセンターがん対策情報センター、人口動態統計 (厚生労働省大臣官房総計情報部)
子宮頸がん/子宮頸部異形成(CIN)の原因はヒトパピローマウィルス(HPV)
子宮頸がん・子宮頸部異形成の主たる原因は、ハイリスク型のヒトパピローマウィルス(HPV)の子宮頸部への持続感染です。ヒトパピローマウィルスは現在約300種類ほど存在することが知られていますが、この中でも発がん性の高い(タチの悪い)タイプの13種類を「ハイリスク型のHPV」と呼びます。
一般的な女性のおよそ8~9割が生涯のうち一度はHPVに感染しますが、通常は免疫力によりHPVは排除され、多くは自然消失します。しかし個人個人の環境や免疫力の差により、一部の女性では持続的にHPV感染が続き、ウイルスが細胞に様々な変化を起こし、最終的には細胞をがん化させます。その結果、数年から10数年を経て、CIN1→CIN2→CIN3→子宮頸がんへと段階的に進展することがわかっています。
ハイリスク型HPVのうち、16型・18型・31型・33型・35型・45型・52型・58型、の8種類は、とりわけ日本人において発がん性が高く、日本における子宮頸がんのおよそ9割はこれらが原因であることが知られています。これらの中でも特にHPV16型とHPV18型が”極悪”です。
HPVの持続感染は、喫煙者、低用量ピルの長期内服、性交渉のパートナーが多い、という女性に起きやすいということもわかっていますので、注意が必要です。

子宮頸部異形成の症状
症状を示すことはほぼありません。その理由として、子宮頸部異形成は腫瘤(かたまり)を作らない病気であるからです。言い換えれば、子宮頸部異形成はがん検診(細胞診)を実施しないと見つからない病気と言えます。一方で子宮頸がんは肉眼的腫瘤を形成するため、おりもの異常や不正出血を呈する場合が多いです。











