卵巣がんの最新のエビデンスと治療について講演しました
- 2024年8月5日
- 婦人科がんに関すること,こみやまレディースクリニックあざみ野に関すること

先日、婦人科がんの専門医が集まる「日本婦人科腫瘍学会」において、卵巣がんの最新のエビデンスと治療について講演しました。
PAOLAレジメン(TC+BEV+Ola)は非常に有効です
進行卵巣がんに対する標準治療では、バイオマーカー(HRD検査)の結果に基づいて、パクリタキセル/カルボプラチン(TC療法)にベバシズマブ(BEV)およびオラパリブ(Ola)を併用する”PAOLAレジメン”を投与することが最も有効と考えられます。初回治療から治療強度を落とさず、ガッチリ治療することによって、再発のリスクを有意に低下させるのみならず、生存期間(OS)も大きく延長することが可能です。OSを延長することに関しては、再発後の治療内容に影響を受けないことも判明したため、いかに初回治療の内容が重要かということがわかります。さらに一部の進行卵巣がんでは、Cure(根治)が望めることもわかってきました。これまで卵巣がんは”Silent Killer”と呼ばれ、進行がんで見つかることが多く、治療を行っても70%以上が再発してしまうため、根治困難と言われてきました。それがHRD検査が陽性の進行卵巣がん患者さんのうち、適切な手術療法とPAOLAレジメンによる化学療法を行うことによって、完全に治すことができる患者さんが数多くいるということがわかってきたのです。これは大変驚くべきことであり、なおかつ吉報です。
PAOLAレジメン(TC+BEV+Ola)は安全に投与することが可能です
分子標的薬であるベバシズマブとオラパリブは副作用(有害事象)の管理が難しく、特にベバシズマブは一部の医師からは「副作用が心配」と敬遠されています。しかし本邦におけるベバシズマブの臨床試験に長く携わり、多くの知見と経験を持つ私から言えることは、適切な管理を行うことによってこれらの薬剤は安全かつ容易に投与することができるということです。いたずらに敬遠することによって、薬剤の恩恵にあずかることができる患者からその機会を奪うことは、極めて不適切です。有益性が期待できる患者さんに有益な薬剤をしっかり届けるために、卵巣がん診療を行う医師はしっかり勉強し、経験を積んで欲しいと願っています。
文責 小宮山慎一
こみやまレディースクリニックあざみ野副院長
東邦大学医学部産科婦人科学准教授
慶應義塾大学医学部産婦人科学客員准教授