骨盤臓器脱
骨盤臓器脱
骨盤内の臓器である子宮・膀胱・直腸が下がってくる(下垂する)病気の総称です。それぞれの臓器別には以下のように呼ばれます。
それぞれの臓器が個別に下がってくることは少なく、複数の臓器が同時に下がってくることが多いため、「骨盤臓器脱(pelvic organ prolapse: POP)」と総称されます。これらの臓器が腟の中に下がってくる状態を、「下垂」「瘤」と呼び、腟の外へ飛び出してしまった状態を「脱」と呼びます。 近年、閉経後性器尿路症候群(閉経関連性器尿路症候群:GSM)との関連性も指摘されています。
などにより骨盤内の臓器を支えている筋肉や靭帯が次第に緩んでしまい、結果として子宮・膀胱・直腸などを支えきれなくなり、これらが腟の中に下がってきてしまうのです。
米国では出産を経験した女性の2人に1人は骨盤臓器脱の症状があるとも言われています。
以下のような症状により不快感が強く、日常生活に支障を来すことが多いです。
視診と触診・内診ですぐに診断できます。超音波検査で周囲臓器との関係もチェックします。
脱の程度により、ステージⅠ~ステージⅣに分類されます。
骨盤臓器脱の治療は、手術療法と手術以外の治療(保存的療法)に大別されます
個々の状態や希望に応じて、これらを複合的に選択します。
手術療法は一般に入院や全身麻酔が必要となります。
当院では保存的療法である上記の①と②を積極的に実施しています。これらは外来ベースで行うことができます。
骨盤臓器脱の予防には、以下の点に留意する必要があります。とりわけ骨盤底筋体操は、日常生活の中で簡単に行うことができ、しかも非常に効果的なトレーニングです。
骨盤底筋体操は腟や肛門を絞めたり緩めたりする動作の総称です。骨盤底筋体操のコツは以下の通りです。
是非とも仕事や家事の合間に行って下さい。
骨盤臓器脱は正しい診断を行い、適切な治療を行うことで間違いなく改善します。日常生活の質も明らかに良くなります。人生100年の時代、高齢女性も自分らしく、好きなことに取り組んで、輝いて生きる時代です。一人で悩まずに、まずは気軽にご相談ください。
私たちは女性の生涯に渡る伴走者として、皆様に寄り添ってまいります。